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2006太極梅花螳螂拳講習会レポート

はじめに

8月13.14.15と三日間に亘り山東省から王秀遠先生を招いて、講習会を行った。

簡単ではあるがその時の様子を報告したい。

●講習会の内容

内容は山東省のカク一族が伝承を広めた
螳螂拳の入門套路で「指路拳(しろけん)」の套路とその用法である。
カク家蟷螂門の特徴の一つに手法の緻密さがあるが、その基礎的な部分を学ぶのに適した内容である。
因みに「指路」とは”螳螂拳のあるべき方向性(路みち)を指し示す”という意味である。

前半で套路を学び後半で用法の説明と相対練習という、かなり速いペースで進行していった。
今ではこういった学習方法に慣れたものの、実は私も中国ではこのハイペースに悩まされたものだった。

講習会で王師父が繰り返し注意していたのは、主に次の2点。

①「打拳の後、手ぶらで戻ってこない」という事

打ち出した拳をそのまま元の位置に戻すのではなく、わざと相手に受けさせて相手の腕を押さえたり、引っ掛けたり、 何らかの形で拘束して次の攻撃をし易くするのである。

この一見地味な手の使い方こそ蟷螂手の正体なのだ。 だから套路には螳螂手の形であまり出てこないが、 用法 (押さえる、引っ掛ける、払う、掴む等)で考えてみると全ての手法の中に蟷螂手が含まれているといって良いだろう。
古伝の螳螂手は単なる握拳で、近代になってから今の形が採用されたそうだ。

②「戦術を理解する」ということ

套路を学ぶ際に動作の意味(技の用法)を学ぶが、よく聞く説明に以下のようなものがある。

「こちらの一打目が受けられたら、二打目をこう打ち出し更に受けられたら三打目をこう打ち出す」等等。
間違いではないが、もっと積極的に考えてみると・・・・・・。

「こちらの一打目をわざと受けさせて(虚)すぐさま二打目に変化させ打ち込み、更に駄目押しの一撃を打つ」 攻撃は最大の防御であり、螳螂拳は積極的に攻撃を組み立てやすい門派だと感じる。

このように技の用法と同時に戦術を考えていくと、自然と套路の練習内容(技の区切りやリズム等)が変わっていくと思う。

●套路の位置づけに関して

また講習会を通じ自分の中での套路の位置付けが、従来より明確になったように思う。

それは 「伝統武術は套路がないと練習できないシステムになっている」 という事だ。

例えるなら套路は教科書のようなものだろうか。套路を覚えるという事は教科書を入手した事になる。
しかし入手しただけでは意味が無く、理解するには精読しなければならないし各自で工夫(アンダーラインを引く等)する必要がある。
套路を何回も繰り返し練習し覚えて慣れてきて、ようやく練習する準備が整うのではなかろうか?

そしてこの技を如何に使うか? あの技のコンビネーションは実用的なのか? などを実際に人を相手に試してみて上手く決まれば問題なし、
上手くいかないなら「何故、どのように駄目なのか?」原因を研究する。
套路→分解(単式練習)→対人練習→套路→分解→対人練習(以下繰り返し)
この練習法で気づかされる事はとても多く、対人練習で得られた各人の答えが套路に反映されて風格が形成されていくのではないだろうか。
それが必ずしも師(教えてくれた人)と同一である必要は無い。体格、経験、思想は各人違うのだから。

●最後に

最後に王師父の言葉を紹介してこのレポートを終わりたい。

「螳螂拳は内家拳でも外家拳でもない」

従来の感覚で単純に「外家と内家」と分けるのは、中国の文化や武術を理解する上であまり意味の無い事なのかもしれない。
この言葉を聞いた時そんな考えが浮かんだ。

「日本人は礼儀正しく、大変気持ちが良い。ぜひともまた会いましょう。」
王師父からのメッセージでした。
暑い中参加して下さった皆さん、本当にお疲れ様でした。 そしてどうも有り難う御座いました。

青砥 満

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